雑音万華鏡 -Noiz-

愛してやまない音楽たちにあふれんばかりの情を込めて

Vol.13 ⊿(トライアングル) / Perfume (2009)

それまでキワモノ扱いされていたアイドルが、中田ヤスタカという鬼才の手によって人間の温かみを捨て、ただひたすらにトラックの一環としてのボーカルを極めたという意味では、前作『GAME』を遙かに超えたクールネスが全体を覆い尽くす、相当に異端なアルバム。

まるで冷凍保存されたクールビューティーとでも言わんばかりに、ボーカルはデジタルの渦に飲み込まれ、トラックはどこまでも突き進むかのように冷徹に滑走する。これは確かに3人のアイドル名義の作品なのだが、果たしてアイドルという枠で語ることは、説明の容量からオーバーフローを起こしはしないか。確かにメロディはある、バラードもある、キャッチーな歌物もある、それでもアルバム中盤に固められた疾走感と、固められたゆえの閉塞感は既存の「アイドルの作品」からは遙かに逸脱している。それが中田ヤスタカの狙った、Perfumeの次なる、そしてその先に続いて行かせるための一手だったと、今なら理解することが出来る。

アイドルは踊って歌うもの。それは既定路線。しかしトラックと一体になるもの、トラックという檻の中で体温を絶対零度に持っていくことは、相当な決断力が求められたのではないか。一度コールドスリープをかけることで、その後にはいくらでも温度感を与えることが出来るという計算は確実に行われていただろう。その決断力と計算が成功したことは、『GAME』で獲得したファンを手放さなかったことが如実に表している。シングル曲以外の歌物を極力ソリッドに削ぎ落とした本作でのPerfumeの用い方は、実験の域を超え、確信犯的な中田ヤスタカのラボ、掌中において緻密に構成されたナノレベルのトラックテクノロジーが生み出した、最も効果的な実力提示ではないだろうか。

これだけの冷たさを持った作品を経由しても、Perfumeはいまだトップアイドルであり続ける。その強靱な体力は、中田ヤスタカの根底にある絶対的支配の元で鍛え上げられ続けているからこその結果なのだろう。さらにPerfumeが続いて行くための次の案は、必ず中田ヤスタカの中に出来ている。本作で魅せた究極のサプライズはきっとまたどこかで繰り返されるに違いない。

(908文字)

 

トライアングル(通常盤)

トライアングル(通常盤)