雑音万華鏡 -Noiz-

愛してやまない音楽たちにあふれんばかりの情を込めて

Vol.28 Go Go Round This World! / Fishmans (1998)

10代、20代、30代。それぞれに、その年なりに君は嘘をついて生きてきた。嘘は方便とも言うけれども、それは自分を誤魔化すためのとても簡単な手段だった。

嘘はピエロの化粧。表情を読み取らせないための、巧みなメイク。自分の感情は全て後回し。人の感情に寄り添うかのように生きて、玉乗りをしては自分のバランスを崩さないように渡ってきた。玉から落下する時にだけ大袈裟におどけて見せて、再び玉に乗ることは恐れずに-それは自分の感情という脆い生き様を晒さないための手段だったから-また手の内を見せずに人の目を誤魔化すために玉乗りに興じてきた。

時折見せるほつれは、同情を引くためのちょっとしたスパイス。嘘の中に真を混ぜると、嘘はより強固なものとなる。それを知るようになった頃には、嘘をつくことには何の抵抗も示さなくなってきた。本当のことは少しだけ。自分の心の中で山のように膨らんで、はじけ飛びそうになった真実は、どこかに掘った穴の中に埋めてしまった。そして空になった自分に再び嘘を注ぎ込み、かりそめの自分として実体を保ってきた。

40代、50代、60代。それでも君は嘘をつき続けるのだろうか。誤魔化し続けるのだろうか。そのうちに本当に確かだったこともすっかり忘れてしまうのだろうか。その時もまた穴を掘っているのだろうか。

-恐ろしい。

間違いなく真実の自分はここにいて、山のような苦しみと悩みを抱えて、いつかそれらが爆発しないかとひたすらに怯えて年を重ねている。もう穴を掘る場所もなくなろうとしている。それらが見透かされそうになった時には、また自分の顔に化粧を施すのだろうか。それはあまりにも寂しいことではないか。そもそも、もうそれは通じない手管なのではないか。

時の流れは、本当も嘘も実は関係なく飲み込んでしまう。自分の苦悩が伝わるはずもなく、いや、伝える手段を育てることを忘れたまま、時間だけが経過していく。時間が事を洗い流してしまう前に、君は胸の内を明かすことに恐れを抱かず、嘘をつくことに少しは臆病になった方がいい。

少しずつでいい。穴を掘る前に、人にそれを明かせ。一つずつ明かせ。時に痛い目に遭うこともあるだろう。それも全て、これまで固めてきた嘘のかさぶたを剥がす痛みだ。苦しいことは何もない。やがて真実のかさぶたが君を覆い、それらがまた剥がれる頃には、全ては本当のことになっているだろう。時間はまだたっぷりとある。嘘を忘れ、真実を伝えることに勇気を持って一歩踏み出せ。

(1026字)

 

Go Go Round This World!

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