雑音万華鏡 -Noiz-

愛してやまない音楽たちにあふれんばかりの情を込めて

Vol.31 (オマエもこの気持良さやられちまいな) 止マッテタマッカ -DLRMX- / LUNCH TIME SPEAX (2001)

動けよこの足。年々動きがのろくなっていく自分の足に叱咤をかけて、腰の痛みまで抱えて無理に前を見て歩く。いや、前を見ればゴールがその視界にないことが分かっているので、ひたすら下を見て歩く。気がつけばゴールにたどり着いていますように、と神に祈るかのように。

寄る年波には勝てないなど老人のセリフだと思っていたのも単なる誤解。自分の足元にはもう年波とやらが迫ってきている。それでもこの足を自分の意思で止めてはならない。止めてしまえば当然のことながら動きが消える。'Don't move!' それは悪魔の囁き。そいつは自分の中で確実に巣くって、存在がどんどん大きくなっている。それは常に抱える恐怖。誰も知る由もない、自分の中にいる奴らとの会話、取り引き。

止まれない。この足を少しでも動かすことができる限りは、止めるわけには行かない。身体は傾ぐ、前に進むのは大きな勇気、常につきまとう歩行の疲労。

嗚呼、幼い頃に走り回ったことはもう遙か彼方に遠くなりにけり。時折、翼を授かった夢を見る者がいるように、今は何も持たずにどこまでも歩き続ける夢を見る。それを心から望む自分がいることもまた事実。しかし夢は夢。ここにいる自分は自力で前へ進むことすらあやしくなっている。10年後、この足がどこまで自力で動かせるようになっているのか、それは考えたくもない一つの恐怖。

しかし止められない。止めてしまえば10年後の恐怖は明日にでもやって来てしまうだろう。恐怖の前倒し。

だから今日も歩く。少しでも歩く。歩いて行く先には恐怖の壁を突き崩していく露払いがいる。自分だけではない。必ず何かが自分の歩みを支えてくれる。その核になるのは自分の心、恐怖心を打ち崩すハードな力。今日もその力にエネルギーを注入して歩き続ける。いつまでも、止マッテタマッカ。

(754字)

 

BLUE PRINT MANEUVER

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