雑音万華鏡 -Noiz-

愛してやまない音楽たちにあふれんばかりの情を込めて

Vol.22 イキモノタチ / タテタカコ (2007)

忘れ去られた空き地に、赤茶けた猫じゃらしが揺れる。土は乾いているのか。水はまだ欲してはいないか。雨雲はいつまでたっても呼ばれることがなく、ただお天道様が毎日のように進路を取るのみ。土が乾けば身体も乾く。干涸らびた身体を動かす水もなく、ただただ心だけが赴くままに歩を進める。

水分を欠いたタテタカコの歌声とピアノは、灼熱のお天道様をその背に負い、人々の贖罪を求めるかのように日々を渡り歩いてゆく。明日はここになく、そのまた明日に希望はない。灼けつく背中の火傷は癒えることを知らず、人々はその熱さを避けて回る。誰にも近づくことを許されず、怒りの矛先もなく、ただその口と手にいつかは訪れるだろう希望に掛けて人を探しさまよう。

足元すぐ先は絶壁(「雷」)

背負われたそれを人々が天の恵みと気づくまで、タテタカコの歩みは止まらない。ただひたすらに自分を傷つけ、近づいてこようとしない人々に希望を求めて進む。すでに希望の恵みは与えているというのに、自分でさえそれに気がつかずにいる。その軌跡、遙か向こうには雨雲を呼び、地に恵みを与え、あの猫じゃらしですらいつの間にか緑を取り戻している。種は花となり、やがて実を結び、鳥を呼ぶ。運ばれた新たな種がまたどこかの地で花となることを知らずに、天を背に背負い続ける。

言うならば知られざる希望。知る者のない希望。容易に絶望を口にすることもなく、自らを罪として歌を紡いでは行脚する。人々の持つ罪さえをも浄化する天を背負い歩き続ける。罪と浄化。その二つからなる力を背負い、いつかは広くその力を知らしめる日がやってくる。

出逢いが人を変えるのなら
まだ見ぬあなたを待ちましょう
身体を流れる水たちは
自分に嘘をつけないから(「道程」)

 (721字)

 

イキモノタチ

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