雑音万華鏡 -Noiz-

愛してやまない音楽たちにあふれんばかりの情を込めて

Vol.49 月 / 山崎まさよし (2007)

宵待ち二人の行く先いずこ
月の航路は櫂なき小舟
流るるままに下る水面に
はねる水なく通わす夜曲
嗚呼、世は捨てきれず、赦され知らず
繋ぐ小指の細き儚さ

重ねる逢瀬の果てすら知らず
屋根無き舟は二人を晒す
預けた身体のただ結ばるるまま
小舟の底に身を隠せど
細き光は燃ゆる肌を照らして止まず
ただ一声、堪忍と洩れる先に
導く魚も情を催す

流るる水面は月を乱し
小舟の舳先は乗り人の熱に揺れ
数多の月が背負うた罪を囲いて隠す
ただ月の誘(いざな)うままに熱は止まず
皎々と昏き咎人への裁きを下す

やがて流れ着く花弁の浜へと
その時を待つことなく終わる夜
月の赦しも失いし時
二人は再びの宵待つ過ち人
熱の行方月知らず
咎の行方人知れず

(292字)

 

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